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By wps.

テキストサイト「侍魂」を思い返しつつ

晴れ時々センチな話(2):テキストサイト

個人がブログを利用するのが当たり前になってきた昨今では、見かけることは滅多になくなりました。それでも、あの頃の自分にとっては大きなチャレンジでした。

先行者を知らなかったらもぐり? テキストサイトのすすめ。」を読んで、当時が懐かしく思わずにはいられませんでした。テキストサイトって、確かにありました。1990年代後半からネットをしていた方には、馴染みがあるかと思います。個人の日常を、行間や文字色・サイズを調整して面白おかしく伝えるサイト。なかなかイメージができない方は、「侍魂」が分かりやすいのではないでしょうか。「ロボット技術の最先端」や「ヒットマン事件簿」は当時の人気テキストです。

侍魂は、テキストサイトの筆頭格で、一時のブームを起こしていました。今では更新が止まっていますが、当時は早く新作が読みたくて毎日のようにネットに接続していた人も多いはずです。ADSLや光ファイバーの常時接続が普及し始めるのはもう少し先の話。「侍魂」に触発されて、多くのテキストサイトが乱立しました。そのほとんどが、数年で姿を消していきましたが、「ろじっくぱらだいす」や「バーチャルネットアイドル・ちゆ12歳」など、今でも残っている有名サイトもあります。ダイヤルアップ接続で、日々こつこつと更新をやっていた学生がいたのです。

私もそんな例に漏れず、テキストサイトを作っていた一人でした。ホームページ・ビルダー
を使って大まかなサイト作成をし、掲示板はKENT WEBが配布していたYY BBSを使用、細かいデザインはHTMLを覚えてノートパッドで調整、FFFTPを使ってアップロード、アクセスランキングは「ReadMe! JAPAN」や「日記才人」で欠かさずチェック。そんな生活を続けていたおかげで、HTML等の知識が多少身に付き、今でも仕事やブログ運営に役立っています。

有名テキストサイトほど笑いを追求できるわけもないので、青臭い悩みを多少の笑いに織り交ぜつつやっていました。少しばかりのアクセスと、僅かながら広がっていくネット上の繋がりに、のめり込むような毎日だったのを覚えています。気合を入れて書いた記事にはけっこうな反応があり、他のテキストサイトで紹介されたりもし、文章を書くことの面白さを直に感じることができました。それでも、いつかは終わりは訪れるもの。更新の手間を考えるとどうにも割に合わない作業だったため次第に熱意が冷めていき、サイトは閉鎖します。

各種ブログサービスやmixiなど、当時と比べて、サイトを開設する敷居は格段に低くなりました。HTMLをまったく知らなくても、誰もがブログやTwitterを始めることができます。安易に情報発信ができてしまうし、炎上や個人情報流出といったトラブルも他人事ではない。似たような記事が量産されがちな時だからこそ、テキストサイトのような自由奔放なスタイルと個人のやる気も、必要なのではないかなと思ったりするのです。今となっては、テキストサイトのなにが面白かったのか、いまいちピンとこないのですが、あの頃ネット上に広がっていた不思議な熱意を、時々は思い返してみたいと思います。

Image: renjith krishnan / FreeDigitalPhotos.net
投稿:3/26/2011